私は現在、企業の管理職の方に向けたコミュニケーション研修の講師や、フリーアナウンサーとして活動しています。古巣だった北陸放送から独立・起業して今年(2021年)5年目です。
今回の記事は「子どもの目に映る自分」がテーマとなります。
日々の仕事や家事、そして育児に追われると、子どもの目に自分がどう映るかをあまり気にしなくなってきますよね。
余裕がなくなってくると、自分の子どものような気の許せる相手ほど、良くも悪くもおおらかに接してしまいがちだからでしょう。
今日はそんな心当たりがあるあなたのお役に立てれば幸いです。
「仕事を辞めたい」が口ぐせだった父が私に与えた影響
起業というと、個人的に思い起こされることがあります。それは私の父のことです。
サラリーマンだった私の父は「商売をやりたい」という思いが強く、「早く仕事を辞めたい」が口ぐせでした。
それでも、家庭を支えるために定年まで勤め上げた父を見ていて、私も「起業は難しいものなんだな」と感じ取っていたように思います。
だから実は、私にとって起業は決して身近でなかったどころか、縁遠いことだと思っていたのです。
それでも私が独立を決意したのは、とある子ども学習塾のイベントで、司会を務めたのがきっかけです。
イベントのリハーサル中、会場のステージ上から、夫と来ていた当時2歳の息子がチラチラ見えました。
ステージの上というのは不思議な力が働くものでしょうか。私はこのとき「息子には、仕事を心から楽しむ私の姿を見てもらいたい!」と思ったことを、よく覚えています。
親子といのは、お互いにさまざまなメッセージを無意識に伝え、また受け取っています。イベント当時の私も、息子と直接やりとりしたわけではありません。
それにもかかわらず「こんな仕事をしているんだよ」と胸を張って言える自分でいたいと、はっきり認識したのです。
ちょうどその頃、私は独立を考えながらも一歩踏み出せずにいました。そして仕事への向き合い方が変わり、独立に至ります。
細やかな気遣いを大事にした母の姿
私の実家は書店を営んでいます。だから毎日、たくさんのお客さんが私の家を出入りしていました。幼い頃、母がお客さんや業者さんとしゃべる姿を、よく眺めていたものです。
とはいっても、話の内容は分かりませんでした。いま思えば大人のむずかしい話なんかよりも、母がどんな表情でコミュニケーションをとっているのか、ということを無意識に観察していたのでしょう。
家庭内のやりとりも記憶に残っています。母はおなかが弱いので、賞味期限が切れそうな食べ物を見つけては「お父さんに食べてもらおう」と言うのが口ぐせでした(笑)。
そんな軽口を言いながらも、態度では父を尊重していました。父の帰宅時間にちょうど間に合うよう揚げ物を揚げ直し、自分の夕食はもう済んでいるのに、食卓に座って父の話を笑って聴いているのです。
同居するおばあちゃんにも母はいつも敬語で、子どもの私でも細やかな気遣いをしているのが伝わってきました。
……こうやって書いてみると、意外に覚えているものですね。父と母の思い出を振り返ったことで、「家族という小さなコミュニティから、やはり子どもは多大な影響を受けているんだな」というのが自分事として感じられました。
大人になると家族以外にも様々なコミュニティへ身を置くようになりますから、このことをつい忘れてしまいそうになります。
子どもに対し、他者を大切にする姿勢を行動で示せているか? 家庭内の何気ないコミュニケーションから見直していきたいものです。
もしあなたが、子どもへの声かけについて家族間のズレを感じているら、自分がどんな子育てを目指して頑張っているのか、一度はっきり伝えるのもいいでしょう。
大人たちで目的を共有することで、子どもの健やかな未来を見据えられる関係が作れたなら、とても素敵ですね。
子どもは大人の姿に夢を見る
子どもは、自分のお母さんが周りの大人とどう関わっているかをよく観察しています。子どもに「夢を持って」と諭しておきながら、その本人がやりがいや夢を見失っていることは少なくありません。
だから、いつも浮かない表情をしていると「大人ってつまらなそう……」と、子どもに思われてしまうかもしれません。
とはいえ、空元気で「毎日が楽しいよ」というのは無理がありますし、それは子どもだって感づくはずです。
そうならないためにも、まずは自分がどんな一日を過ごしたか、仕事でどんな活躍をしたのか、子どもに話してみてはいかがでしょうか?
「幼い子に大人の仕事なんて分からないし、興味もないだろう」と思ったかもしれません。しかし、それはあなたの思い込みです。
忙しい毎日の中で、ほんの少しだけ違う大人の一面を見せれば、間違いなく子どもは新鮮さを感じてくれます。「それってどんな仕事? 楽しいの?」と、興味津々で聞いてくれるかもしれませんよ。
そしてかみ砕いて説明するうち、子どもはきっとあなたの仕事を深く理解します。こうした積み重ねが子どもの夢につながるのでしょう。
最後に
今回あなたに伝えたいことは「いち社会人としての自分が、子どもの目にどう映っているかを意識する」ことから始めてほしい、ということです。
そうすることで、まず子どもに対する接し方が良くなりますし、結果的に子どもからのコミュニケーションにも変化が生まれます。
例えば鏡を見るとき、メイクの出来映えだけでなく、表情もチェックしてみてください。「この表情で仕事をする自分は、果たして周りや子どもの目にどう映るだろうか?」と自分に聞いてみましょう。
「今日はこんな仕事をしたよ!」と胸を張れる日が、一日でも増えれば幸いです。
記事を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。もし本記事を読んで自分の姿が周囲や子どもにどう映っているか気になると感じたら、私の10日間動画講座にぜひご登録ください。
講座ではアナウンサー業務やコーチングを通して得られた私の経験から、あなたのコミュニケーション改善に役立つノウハウを余すことなくお伝えします。
> 10日間の動画講座はこちらから(講座は無料でご視聴いただけます)
